薄毛や抜け毛は、AGA(男性型脱毛症)だけが原因とは限りません。他にも様々な種類の脱毛症があり、それぞれ髪の抜け方や症状、原因が異なります。AGAの抜け方の特徴を理解するとともに、他の脱毛症との違いを知っておくことは、適切な対処法を見つける上で非常に重要です。AGAの抜け方の特徴は、主に前頭部(M字型)や頭頂部(O字型)から徐々に薄毛が進行し、細くて短い軟毛が増えることです。一方、「円形脱毛症」は、自己免疫疾患が関与していると考えられ、突然、コイン大から広範囲に円形または楕円形の脱毛斑が現れるのが特徴です。AGAのように特定のパターンで徐々に進行するのではなく、比較的急激に発症し、時には頭髪以外の体毛にも影響が出ることがあります。脱毛斑の境界が比較的はっきりしており、病変部には切れ毛が見られることもあります。「脂漏性皮膚炎に伴う脱毛」は、頭皮の炎症が主な原因です。皮脂の過剰分泌により頭皮がベタついたり、フケやかゆみ、赤みといった症状が現れたりし、その炎症が毛穴に影響を与えて抜け毛が増えることがあります。AGAのように特定のパターンで薄くなるというよりは、炎症が起きている部分を中心にびまん性に抜ける傾向があります。「牽引性脱毛症」は、髪を強く引っ張る髪型を長期間続けることで、毛根に物理的な負荷がかかり、生え際や分け目部分の髪が薄くなる状態です。特定の部位が引っ張られることで抜けるため、AGAの進行パターンとは異なります。「休止期脱毛症」は、大きな手術や高熱、出産、精神的ストレス、過度なダイエットなど、身体的または精神的な大きな負荷がかかった後、数ヶ月してから一時的に頭部全体の髪の毛が均等に抜け落ちるのが特徴です。AGAのように特定の部位から進行するのではなく、全体的にボリュームが減ります。これらの脱毛症は、それぞれ原因や治療法が異なるため、自己判断せずに皮膚科や専門クリニックを受診し、医師による正確な診断を受けることが不可欠です。医師は、抜け方や頭皮の状態、問診などを通じて、適切な鑑別診断を行います。