数年前から、ふと鏡を見ると分け目が以前より目立つようになったと感じ始めました。最初は気のせいか、あるいは髪型を変えたせいかと思っていましたが、日が経つにつれて、髪全体のボリュームが減り、地肌が透けて見える範囲が広がってきたように感じました。美容師さんにも「少し髪が細くなりましたね」と指摘され、これはただ事ではないと、大きなショックと不安に襲われたのを覚えています。インターネットで調べてみると、私の症状は「びまん性脱毛症」というものに当てはまるようでした。びまん性脱毛症という言葉を知ってからは、とにかく情報を集めました。原因はホルモンバランスの乱れ、ストレス、栄養不足など様々で、どれも自分に当てはまるような気がして、余計に落ち込んでしまいました。特に仕事が忙しく、不規則な生活が続いていた時期だったこともあり、それが原因なのではないかと自分を責める気持ちもありました。まず取り組んだのは、生活習慣の見直しです。できるだけバランスの取れた食事を心がけ、特に髪に良いとされるタンパク質や亜鉛、鉄分を意識して摂取するようにしました。睡眠時間も確保し、寝る前はスマートフォンを触る時間を減らしてリラックスするよう努めました。シャンプーも、頭皮に優しいアミノ酸系のものに変え、洗い方にも気を使うようになりました。しかし、すぐに効果が現れるわけではありません。毎日鏡を見てはため息をつき、抜け毛の量に一喜一憂する日々が続きました。友人との会話でも、つい髪の毛の話題を避けてしまったり、帽子が手放せなくなったりと、精神的にもかなり参っていました。周りの人は気づいていないかもしれないけれど、自分にとっては大きなコンプレックスでした。そんな中、皮膚科の医師に相談する勇気が出ました。医師は私の話をじっくりと聞いてくれ、びまん性脱毛症のメカニズムや、考えられる原因について丁寧に説明してくれました。そして、「焦らず、できることから一つずつ改善していきましょう」という言葉に、少しだけ心が軽くなったのを覚えています。医師の指導のもと、栄養指導を受けたり、場合によっては内服薬や外用薬を検討したりすることも視野に入れました。
月: 2022年5月
AGAで進行を早める要因
AGA(男性型脱毛症)は、遺伝的要因と男性ホルモンの影響が主な原因ですが、その進行スピードや髪の抜け方には、生活習慣や環境要因も少なからず影響を与えると考えられています。AGAの進行を早めてしまう可能性のある要因を理解し、それらを避ける努力をすることも、薄毛対策の一環として重要です。まず、「不規則な食生活」は髪の健康に悪影響を与えます。髪の毛は主にタンパク質でできており、成長にはビタミンやミネラルも不可欠です。ファストフードやインスタント食品に偏った食事、過度なダイエットによる栄養不足は、髪の成長に必要な栄養素が不足し、AGAの進行を助長する可能性があります。特に、脂質の多い食事は皮脂の過剰分泌を招き、頭皮環境を悪化させることもあります。「睡眠不足」も大きな要因です。髪の成長を促す成長ホルモンは、主に睡眠中に分泌されます。慢性的な睡眠不足や質の低い睡眠は、成長ホルモンの分泌を妨げ、ヘアサイクルを乱し、AGAの進行を早める可能性があります。「過度なストレス」も無視できません。ストレスは自律神経のバランスを乱し、血管を収縮させて頭皮の血行を悪化させます。これにより、毛根への栄養供給が滞り、髪の成長が妨げられ、AGAの抜け方が加速する可能性があります。また、ストレスはホルモンバランスにも影響を与えることがあります。「喫煙」は、AGAの進行を早める代表的な悪習慣です。タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させ、頭皮の血行を著しく悪化させます。また、一酸化炭素は血液中の酸素運搬能力を低下させ、毛母細胞への酸素供給を妨げます。「過度な飲酒」も、髪の成長に必要な栄養素の吸収を妨げたり、肝臓に負担をかけたりすることで、間接的にAGAの進行に影響を与える可能性があります。「間違ったヘアケア」も頭皮環境を悪化させ、AGAの進行を助長することがあります。洗浄力の強すぎるシャンプーの頻繁な使用や、ゴシゴシと力を入れて洗髪することは、頭皮に必要な皮脂まで奪い、乾燥や炎症を引き起こす可能性があります。これらの要因は、AGAの直接的な原因ではありませんが、進行を加速させる「アクセル」のような役割を果たすことがあります。AGA治療と並行して、これらの生活習慣を見直すことが、より効果的な薄毛対策に繋がります。